漢方処方は複数の構成生薬でできていることは、周知の通りです。
そして、その構成生薬がすべてが同じ重要性を持っているわけではありません。
中心となる重要生薬と、その作用を補助し、重要生薬が十分薬効を発揮できるようにする生薬が配合されています。
このような役割分担を君臣佐使(くんしんさし)といいます。
君薬
中心生薬を君薬といいます。
君薬自信は強力な作用を持っていなけれど、 処方全体の作用の方向性や副作用の軽減・消去などに 重要な役割を果たすものであると位置づけられています。 主として「上薬」という種類の生薬を用います。
上薬とは、
生命を養うを主とする。
無毒。
長期服用しても人を害しない。
身を軽くし、体を益す。
不老長寿の薬。
とされています。
上品(じょうほん)とも言われ、体質を強化し、他の薬の副作用を軽減するという特徴を持っています。
ですから、上薬は1回の服用で効果は出ませんが、連続して服用していると、段々と体質が改善されてくるもので 養生的に使う薬であるといえます。
病気にならないように、予防的に体を調節し、症状が治っても、再び同じ症状を繰り返さないように、体質を整えるのが上薬であるのです。
上薬に分類されるものに 甘草、桂皮、人参、山薬、大棗、胡麻、地黄、五味子などがあります。

臣薬
君薬の作用を補助し、強める生薬であり、君薬についで重要な作用を果たすと考えられます。
主として「中薬」という種類の生薬を用います。
中薬とは
人に応じて無毒と有毒とがあり、
適宜配合して、
病を防ぎ、
体力を補う。
とされています。
中品(ちゅうほん)とも言われ、大量に服用すれば副作用が出ますが少量か短期間なら毒性がなく、穏やかな作用で新陳代謝を盛んにするという作用をもちます。
中薬に分類されるものに 当帰、川芎、柴胡、芍薬、葛根、乾姜、麻黄などがあります。
佐薬
君臣薬を補佐したり、治療効果を高めたりするもので、しばしば君臣薬と反対の性質のものが用いられます。
これには主に下薬が用いられます。
使薬
君臣佐薬の補助的な役割をし、直接的に病気の部位に作用する生薬です。
主に下薬が用いられます。
下薬
病を治すを主とし、
毒性も強いので、
長期の連用はつつしむべし
とされています。
下品(げほん)とも呼ばれ病気を治す作用は強いもののしばしば副作用を伴うため、摂取量や期間に十分配慮する必要があるものです。
下薬に分類されるものに大黄、附子、半夏、黄柏等、種々の動物性の生薬が該当します。
処方中の生薬の調和や服用しやすくする生薬を使薬と呼びます。
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